グレートピレニーズは、人気のある犬種の一つですが、特定の病気にかかりやすい傾向があります。
この記事では、グレートピレニーズが罹りやすい病気のいくつかを紹介し、その症状や予防方法について詳しく解説します。
病気の種類
グレートピレニーズがかかる病気は4種類程度あります。
個々に原因や対策などを説明していきます。
胃拡張(胃拡張胃捻転)
胃が拡張し、ねじれ(捻転)を起こすことで発生します。胃や周囲の血流が遮断されることから、急激にショック状態に陥るため、著しく緊急性の高い病気です。発生後数時間で死に至ることも多くあります。
症状
胃が拡張するため、胸~腹部が大きく膨らみます。そのほとんどは空気であるため、指でたたくとサッカーボールをたたいた時のような感触があります。
急激にぐったりとしはじめ、嘔吐をしたくても吐物がでない状態になり、多量のよだれを流します。その後、呼吸困難、目に見える部分の粘膜が白く退色する、脈圧が低下する、などのショック症状を起こします。そのまま治療をしないで放置しておくと数時間で死亡する場合がありますので、早急の治療が必要です。
原因
はっきりとした原因は不明ですが、胃内に停滞する液体やガスの増加や食後の過度の運動による胃拡張が主な原因となり、胃拡張に伴って胃捻転を起こします。多量のドライフードを食べた後に水を飲むことにより、胃の内容物が膨張することが胃拡張の要因の一つなることもありますので食事の与え方には注意が必要です。
予防
1回の食事で沢山の量を与えすぎたり、食後すぐに運動をしたりしないようにしましょう。特に、暑い時期は、胃内で食物が発酵するスピードが早いため、ガスの発生が起きやすく、注意が必要です。
特に大型犬で胸の深い犬は注意をしてください。食事の回数を1回だけでなく、2回以上に分けることなども予防になります。
胃拡張胃捻転症候群は健康な犬であっても、急にかかってしまう命にかかわる大変怖い病気です。治療
胃の空気を抜き、減圧処置を行うことで、捻転を解除する処置が重要です。口から胃にチューブを挿入したり、皮膚の上から太めの注射針を胃内に刺すことで、内部のガスを排出し、減圧します。
同時に、ショック状態の治療を行います。ショック状態の治療にはステロイドの投薬や、静脈への点滴、酸素吸入などあらゆる救急治療を行います。
ショック状態が落ち着いたら開腹手術による外科的治療を行うこともあります。一般的な手術は、捻転している胃を元の位置に戻し、再発を防ぐために胃を腹壁(お腹側の膜)に縫合糸で固定する手術となります。
みんなのどうぶつ病気大百科様より引用
股関節形成不全
股関節形成不全とは、犬の股関節が発育の段階で形態的な異常を起こし、様々な症状を引き起こす病気です。一般的に両側の股関節に発症することが多いといわれておりますが、片側性の場合もあり、大型犬や超大型犬での発症が多くみられます。
症状
股関節形成不全の症状は生後 4 - 12 ヶ月ごろに確認されることが多いといわれていますが、 2 - 3歳になってから症状が現れる場合もあり、次のような症状がみられます。
・横座りをする
・腰をふるように歩く(モンローウォークといわれています)
・四肢をつっぱるように歩く
・ウサギ跳びのように後ろ足を一緒に動かして走る
・立ち上がるのに時間がかかる
・高いところからの昇り降りや、運動することを嫌がる
・立っているとき、後ろ足の左右の接地点間隔がせまい原因
原因は遺伝的素因や、成長期の偏った栄養や運動などが関与しているといわれています。これらの原因によって、大腿骨を受け止める骨盤のくぼみ(寛骨臼)が浅かったり、本来は丸い大腿骨の先端が変形していたりするために、うまく関節がかみ合わず歩行の異常などが現れます。
予防
幼齢期に過剰な栄養を与えたりすることは、股関節形成不全を発症させる原因といわれておりますので、注意が必要です。また、股関節形成不全がある犬の場合は、症状の進行を防ぐために体重管理が大切です。肥満にならないように、日頃からのこまめな体重管理を心がけましょう。また、フローリングなどの滑りやすい床材は避ける。足の裏の毛が伸びてくる犬は、滑らないようにするため足の裏の毛を短くカットする。ジャンプや過度な運動をさせないなど、日常生活での注意も重要です。犬に股関節形成不全が疑われるような症状が見られた場合は、早めにかかりつけの動物病院に行きましょう。
治療
犬の年齢や症状、股関節の状態、飼い主の希望などによっても治療法は異なりますが、一般的には、内科的治療(保存的)と外科的治療があります。
●内科的治療(保存的)
鎮痛剤やレーザー療法などによる痛みの管理や、運動制限、肥満を防ぐための体重管理などを行います。内科的治療で症状が緩和され、良好な生活を送れるケースもありますが、症状が重度な場合や内科的治療を行って症状の改善がみられない場合などは、外科治療を行います。●外科的治療
みんなのどうぶつ病気大百科様より引用
股関節形成不全の手術には「骨盤 3 点骨切り術」「股関節全置換術」「大腿骨頭切除術」などがあります。犬の症状や関節の状態になどによって、適応時期や手術方法が異なります。また、外科的治療を行う場合は、麻酔のリスク、手術後の安静期間やケア方法、費用につきましても、かかりつけの動物病院とよくご相談ください。
膝蓋骨脱臼
膝蓋骨脱臼とは、犬の後肢にある膝蓋骨(膝にあるお皿のような骨)が正常な位置から内側、または外側に外れてしまう状態をいいます。小型の犬では、膝蓋骨の内側への脱臼(内方脱臼)が多くみられます。
症状
膝蓋骨脱臼の症状は、無症状な状態から歩くことが困難な状態までと幅が広く、その程度(グレード)により次の 4 段階に分けられています。
[グレード 1 ]
膝蓋骨は正常な位置にあり、膝をまっすぐ伸ばして膝蓋骨を指で押した場合には脱臼を起こし
ますが、離すと自然にもとの位置に戻ります。無症状なことがほとんどですが、たまにスキップのような歩行をすることがあります。[グレード 2 ]
膝蓋骨は通常、正常な位置にあるのですが、膝を曲げると脱臼してしまいます。脱臼した膝関節は、足をまっすぐにしたり指の力で押さないと元には戻りません。あまり日常生活に支障はありませんが、脱臼しているときには足を引きずるようにして歩く跛行(はこう)がみられます。時間の経過とともに、膝の靭帯が伸びたり骨が変形を起こしてしまうと、グレード 3 に移行してしまう場合があります。[グレード 3 ]
通常、膝蓋骨は脱臼したままの状態となり、指で押した場合に、一時的にもとの位置に戻ります。跛行も顕著となり、腰をかがめ、内股で歩くようになります。骨の変形も明らかになってきます。[グレード 4 ]
膝蓋骨は常に脱臼した状態となり、指で押しても整復できません。骨の変形も重度となり、足を曲げてうずくまるような姿勢で歩いたり、地面に足を最小限しか着けないような歩き方になったりします。原因
膝蓋骨脱臼が起こる原因としては、先天的に膝関節や膝関節周囲の形態に異常がある場合や、後天的に外傷や骨に関連する栄養障害などがある場合があげられます。
予防
膝蓋骨脱臼がある犬の場合は、症状の進行を防ぐために体重管理が大切です。肥満にならないように日頃からのこまめな体重管理を心がけましょう。フローリングなどの滑りやすい床材は避ける、足の裏の毛が伸びてくる犬は滑らないようにするために足の裏の毛を短くカットする、ジャンプや過度な運動をさせないなど、日常生活での注意点も重要です。また、犬に膝蓋骨脱臼が疑われるような症状が見られた場合は早めにかかりつけの動物病院に行きましょう。
治療
鎮痛剤やレーザー治療などで一時的に症状が緩和をする場合もありますが、根本的な治療は外科手術となります。犬の症状やグレードなどによって、手術適期や手術方法は異なります。また、麻酔のリスク、手術後の安静期間、ケア方法、費用につきましても、かかりつけの動物病院とよくご相談ください。
みんなのどうぶつ病気大百科様より引用
骨肉腫
骨肉腫は骨と軟骨に発生する悪性腫瘍です。足の骨に起こりやすく、腫れや痛みが見られます。
骨にできる悪性腫瘍には骨肉腫、軟骨肉腫、血管肉腫、線維肉腫などがありますが、犬で四肢の骨に起こる悪性腫瘍のうち、85%が骨肉腫です。
骨肉腫は大型犬での発生が多く、若い犬でもみられます。短期間で肺に転移し、死亡率の高い腫瘍として知られています。症状
特に四肢の長い骨に腫瘍ができやすく、激しい痛みを伴うことが多いため、足の腫れや歩き方に異常(歩き方がおかしい、片足を引きずっている)などの症状がみられます。脊椎(背骨)に病変ができた場合は麻痺が出ることもあります。骨肉腫は進行が速く、早期の段階で転移しやすい腫瘍です。特に肺への転移が多くみられ、その場合呼吸困難などの症状があらわれます。
■こんな症状に注意!
病変部は腫瘍によって骨がもろくなっているので、負荷に弱くなっています。ケガをきっかけとして骨肉腫の症状に気づくこともあります。症状はケガの初期と似ていますが、長引く場合は注意が必要です。
・触ると痛がる・骨の部分に腫れやしこりがある
・歩き方がおかしい
・麻痺がある(脊椎に発症時)
・咳をする、息が苦しそう(肺転移時)
■検査でわかること
レントゲン検査で痛みやしこりのある部分の骨に異常が見られることが多いです。肺転移時は、胸部レントゲンで肺に白い影が見つかることもあります。■予後
発生部位や年齢、ステージ(悪性度など)、治療内容などによって個体ごとに異なります。
治療を行わない場合の標準的な余命は約110日です。断脚(足を切断する治療)を行った場合でも、断脚のみでは2か月ほどの延命効果しか得られません。このため、断脚に化学療法(抗がん剤)を併用することがあり、10~18ヶ月ほどに生存期間を延長できます。積極的な治療を行っても、残念ながら最終的には肺に転移して、予後不良となることも多いです。原因
犬の骨肉腫の原因ははっきりわかっていません。
犬の場合、骨肉腫は75%が四肢の骨に、25%が胴体の骨にみられます。
前肢に発症しやすく、前肢の発生率は後肢の2倍です。前肢では肘から遠い部分(上腕骨の肩に近い方や前腕の手首に近い方)に起こりやすく、後肢では膝に近い部分(大腿骨やすねの骨の膝寄りの部分)で多く発症します。
理由は不明ですが、犬種特性があり、体重40㎏以上の大型犬でとくに発症のリスクが高いといわれています。ロットワイラー、グレート・デン、ラブラドール・レトリバーやゴールデン・レトリバーなどがかかりやすい犬種です。
品種により発症しやすさが異なることから、遺伝的な要因の関与も考えられます。
発症の平均年齢は7歳といわれていますが、発症しやすさには若いときと老齢のときの2回ピークが見られ、2歳前後の若い犬でも発症することがあります。
予防
発症の原因がはっきりわからないので、予防することは難しい病気です。しかしながら、早期発見による早期治療によって、痛みを緩和し、生存期間を延長できます。定期的に検診を受け、日ごろから犬の歩くようすを観察しましょう。
しこりや歩き方の異常、さわると痛がる、ケガの痛みが長く続いているなどの症状がある場合には、早めに動物病院にご相談ください。
治療
四肢の骨肉腫の場合、ほとんどのケースで断脚を行います。
骨肉腫は転移しやすいので、手術を行っても根治が難しいケースもあります。生存期間を延長し、痛みを和らげるため、抗がん剤による化学療法、放射線治療や緩和ケアを組み合わせます。
■動物病院での治療法
1.外科手術(断脚)生存期間の延長と痛みからの解放を目的に、病変のある足を切り離します。肩関節、または股関節などの足のつけ根から切除する方法が一般的です。
超大型品種などの体重の重い犬や、関節疾患のある犬では術後に補助が必要なこともありますが、三本足でも歩行可能な犬は多くいます。
2.抗がん剤治療
体調を確認しながら、中長期的に投薬を行います。断脚後に抗がん剤を使用すると、生存期間の延長効果が期待できます。薬剤には、シスプラチン、カルボプラチン、ドキソルビシンなどがあり、1種類だけを使用する場合と複数の薬剤を組み合わせる方法があります。
食欲不振や消化器症状、骨髄抑制(白血球数の低下)などの副作用が出た場合は、対症療法もあわせて行います。
3.放射線治療
放射線を照射し、がん細胞を減らします。手術が困難な部位の腫瘍の治療や、疼痛緩和目的で行われます。
4.緩和ケア
骨肉腫は痛みの強い病気なので、鎮痛剤を積極的に使用します。抗炎症剤のほか、麻薬に分類される強めの痛み止め(フェンタニルのテープ剤など)を使用することもあります。使用時は獣医師の指示をよく聞いてください。
5.代替・補助医療
光線温熱療法やサプリメントなどが、生活の質をあげる補助となることがあります。
■家庭内での治療とケア
家庭内で投薬可能な内服薬には、痛み止めや、抗がん剤の副作用を緩和する薬などがあります。
断脚後は運動が難しい場合もありますから、おやつを使ったコミュニケーションなどでストレスを発散させてあげるなどしてあげましょう。
みんなのどうぶつ病気大百科様より引用
なお、この病気の記事に関して、『みんなのどうぶつ病気大百科』様の情報を引用させていただきました。
これらの病気が原因でシベリアンハスキーの寿命が短くならないよう、早期発見できればと思います。