バーニーズの歴史
バーニーズ・マウンテン・ドッグの通称は『バーニーズ』(以下、「バーニーズ」とします)と呼ばれ、別名は『ベルナー・ゼネンフント、バーニーズ・キャトル・ドッグ』とも呼ばれています。
スイス原産のマウンテンドッグ4種のうちの1種で、ほかに
・グレーター・スイス・マウンテン・ドッグ
・エントレブッハー・マウンテン・ドッグ
・アッペンツェラー・キャナルドッグ
という3つの犬種があり、とてもよく似ています。
この犬種の歴史は大変古く、古代ローマに存在したマスティフタイプ(Wikipedia引用)の犬であろうと考えられています。
バーニーズの起源については定かではありませんが、歴史は大変古くおよそ2000年前まで遡ります。
当時の古代ローマ時代、ローマ軍がスイスに侵攻し統治した時代にローマ軍が連れてきたマスティフ系の犬と、スイス山岳地域に土着していた犬が交雑したものが祖先であると考えられています。
当時のバーニーズの役目は、主に敵が現れた時の侵入者の排除が仕事でした。
しかし、ローマ時代の終わりとともに農民の財産を守るためファーム・ドッグ(農場で飼われている犬)として野生動物から家畜を守る番犬として飼われたり、ミルクや乳製品・農産物などの作物の運搬など荷馬車を引く牽引犬として働くようになりました。
また、スイス山岳地方では牛を追う牧羊犬として活躍していました。
温和な性格と服従性、頑丈な足腰でよく働く彼らだからこそ、山の農場からベルンの街へと活躍の場を広げていきました。
しかし産業革命以降、自動車や蒸気機関車などの輸送手段の発達により仕事がなくなったバーニーズは、次第に数が少なくなっていき第一次世界大戦の頃には絶滅寸前とまで言われていました。
一時期は絶滅寸前まで減少したバーニーズですが、絶滅を危惧したブリーダーやスイスの愛好家たちは、スイスの山岳部でわずかに生存していたバーニーズの生き残り数頭を見つけ純粋なバーニーズの繁殖に成功しました。
年表
1892年この愛好家らの尽力によってバーニーズは犬種の保存目的のため、改めて繁殖の途につくことになります。
1892年、この犬たちを元に犬種保存のための繁殖が開始され、10年後の1902年頃からドッグショーに出場し見事に復活。
絶滅の危機を脱したのでした。
1904年ベルンにて開催されたインターナショナルドッグショーでオス6頭とメス1頭のバーニーズが出場されました。
この7頭のうち4頭はスイスケネルクラブに1905年に登録され、その後1908年には8頭が登録されました。
1907年頃には犬種クラブが設立され、繁殖と保存活動はさらに本格化していきました。
1910年には、100頭を超えるバーニーズ・マウンテン・ドッグが出場し、バーニーズという犬種を確立したのです。
その後1922年までには58頭がスイスケネルクラブで登録され、1939年には129頭、1948年には336頭に増えました。
ヨーロッパ各地で人気を博し、1926年にアメリカへ渡ったバーニーズは、1937年アメリカンケネルクラブにおいて正式犬種として認定されることになりました。
この時、デュールベッヘラーたちは『ベルナー・ゼネン・フント』と紹介されましたが、これは『スイスの山の犬』という意味でした。
これを英語読みしたのが『バーニーズ・マウンテン・ドッグ』ということになり、以後はこの名称が使われるようになりました。
1892年 | 愛好家によりバーニーズの繁殖を開始 |
1902年 | ドッグショーに出場 この頃より絶滅の危機を脱出 |
1904年 | ペルンにてドッグショーに雄6頭と雌1頭が出場 |
1905年 | ペルンのドッグショー7頭の内4頭がスイスケネルクラブに登録 |
1907年頃 | 犬種クラブ設立 |
1908年 | スイスケネルクラブに8頭の追加登録 |
1910年 | ペットショーに100頭以上出場 バーニーズという犬種の誕生 |
1922年 | スイスケネルクラブに58頭登録 |
1926年 | バーニーズがアメリカへ渡る |
1937年 | アメリカンケネルクラブにおいて正式犬種として認定 |
1939年 | スイスケネルクラブに129頭登録 |
1948年 | スイスケネルクラブに339頭登録 |
バーニーズが特に多く飼われていた場所は現在のスイス・ベルン州にあたる地域で、この地方にあった旅館の名称から当初は『デュールベッヘラー 』という犬種名で呼ばれていましたが、ドッグショーへの参加を経て原産地の名前をとり『バーニーズ・マウンテン・ドッグ 』と名称が変更されました。
名前は原産地ベルン市にちなんでつけられたもので、山岳地での活動に耐えられる犬という意味になります。
毛色のバリエーションがトライカラー(黒、白、茶)のみであることもバーニーズの印象を強く残すことになり、次第に欧州各地で、そしてアメリカへと広がっていきました。
まとめ
日本では1980年代~1990年代に爆発的なブームが起こりました。
ゴールデンレトリバー、ラブラドールレトリバー、シベリアンハスキーと続く大型犬ブームの流れを受け、最後に登場したのが バーニーズ・マウンテン・ドッグ なのです。
このバーニーズ・マウンテン・ドッグの『マウンテン・ドッグ』とは、『スイスの山岳地帯を歩く犬』からつけられた名前なのです。